
赤外検出器とは、赤外線を感知しその強度を電気信号に変換する装置です。ガス検出をはじめ、非破壊検査、物質の分析、温度計測などの分野で利用されています。
製造現場におけるガス検出は安全な作業環境の確保に最も大切な一つです。ガス漏れやガス濃度の異常による危険を早期発見、作業者の安全を確保し事故を未然に防ぎます。
高度なガス漏れ検出
分光法を用いることで、漏洩ガスの化学分析に関する詳細な情報を得ることができます。それぞれの分光法は、異なる種類の濃度測定に特化しています。
検出できるガスの一例(吸収線)
- 水蒸気(2.9μm、6.3μm)
- CO2(4.26μm、9.4μm)
- NH3(10.74μm)
- HCI(3.5μm)
- HF(2.5μm)

一般的なレーザー吸収分光法の概略図
波長可変ダイオードレーザー吸収分光法
現在主流のガス分析は、レーザーやLED光源を用いた方法で、信号対雑音比と選択性に優れています。特に、シンプルで高速・高感度なTDLAS(波長可変ダイオードレーザー吸収分光法)は、微量ガス(ppbレベル)も正確に測定が可能です。
ガスの濃度だけでなく、温度や圧力も同時に把握できます。検出には赤外線検出器を使用し、ガス吸収線に合った検出器選びが重要です。

TDLASの動作原理の概略図
キャビティリングダウン分光法
CRDS(キャビティリングダウン分光法)を用いたメタン検出分光計は、光の絶対吸収を高感度で測定できる技術で、モル分率を1兆分の1(ppt)レベルまで検出可能です。
この技術により、天然ガスの漏れを非常に早い段階で検知でき、ガス送電線の監視や欠陥配管の検査、漏洩の予測、リスクマッピング、排出削減の取り組みなどに広く利用されています。
これらの装置は、環境保護や安全性向上に大きく貢献しています。

CRDSの動作原理の概略図
各種ガス漏れ検知の実用化
地上のガス管や天然ガス漏れの測定は一般的で、静的(オープンパス)や移動式(空中)測定が可能です。
オープンパス分光法は火山や工場の高温ガス、微量ガスの測定に使われてきましたが、野外の温室効果ガス測定にはほとんど利用されていません。

オープンパスレーザー検出
移動型MWIR(中赤外)ガス検出
移動型レーザー式ガス検出法は、車両を走行させながら天然ガスの漏洩を検出し、位置を特定する方法です。
専用車両に搭載されたメタン分析装置と化学感応性検出器を用いて漏洩箇所を特定し、ガス濃度の情報は信号送信機を通じて監視センターに送信されます。

移動型レーザーガス検知装置
レーザー分光検出器を搭載したドローン
最新技術の進歩により、ガス検出器搭載のドローンは天然ガス漏れの詳細な情報を安全に取得できるようになりました。
無人航空機(UAV)は危険なガス漏れ地点にリアルタイムで到達でき、小型で携帯しやすく操作が簡単、コストも比較的低いため、効率的なガス漏れ監視に大きな利点があります。

