
黒鉛は高圧でダイヤモンドに変化するように、高圧をかけることで物質が新たな状態・物質相が見られます。新素材の開発に高圧研究をしてみませんか?この記事では高圧研究に初めて足を踏み入れる方にダイアモンドアンビルセルをご紹介します。
ダイヤモンドアンビルセル(DAC)とは?
ダイヤモンドアンビルセルは、極めて高い圧力環境を資料(サンプル)に与えるための装置です。GPa(ギガパスカル)圧力レベルの極限条件下で物質を研究するために使用される、非常に汎用性の高いツールです。高圧条件を室内で実現できるため、物質科学・地球科学・高圧化学などの最先端研究分野で不可欠なツールです。
DACの基本構造は、中央部に逆さに配置された2つのダイヤモンドアンビルと、その間に挟まれた金属製のガスケットで構成されています。このガスケットの中央には、試料を配置するための小さな穴があります。試料に圧力をかけるには、これら2つのダイヤモンドにある程度の力を加える必要があり、形状や構造(通常は2つのプレートまたはピストンシリンダー)に応じて異なる方法で行うことができます。このように、ダイヤモンドの広い面(テーブル)に加えられる強い力が、アンビルの小さな先端部分(カレット)に高い圧力を生み出します。

- 広範囲の電磁放射に対する透過性 → 試料を光学的に観察できる
- 化学的に不活性 → 試料との本能が抑えられる
- 極めて高い硬度 → 高圧に耐えることができる
目標圧力に対する試料のサイズはどれくらいですか?
高圧実験で覚えておくべき重要なポイントは「

DACにはどのような種類がありますか?
DACによって生成させる力は、

どんな測定ができる?
ダイヤモンドアンビルセルには以下の測定を可能にします。
実験には何が必要ですか?
ダイヤモンドアンビルセル(DAC)実験は「極限環境再現」
- ステレオ顕微鏡:セルを調整、試料を載せる際に必要です
- 圧力伝達媒体:エタノールやメタノールが一般的に用いられます
- ルビーパウダー:圧力を光学的に測定する場合に圧力指標として活用します
光学的に測定する場合、蛍光測定システムも必要となります。
- ガスケット穴あけ装置:自身で穴あけをしたい場合必要です、メーカーから既に穴あけされたものも提供可能です
DAC導入の “メリット” と “解決できる課題”
小型・高圧環境を手元で再現できる
従来の大型高圧装置(プレス装置、マルチアンビル装置など)に比べ、 DAC は省スペース・比較的低コストで導入可能な点が魅力です。これにより、日常的な高圧実験環境を研究室に持ち込むことが可能です。
幅広い測定法との組み合わせ
光学測定、分光測定、X線測定、輸送測定、磁性測定など多様な手法と併用できるため、ひとつの圧力実験系で多面的な情報取得が可能です。
高圧相・未知相の発見、相転移挙動の理解
たとえば、ある材料の常圧状態では見られない結晶相が、一定の圧力下では安定になることがあります。こうした未知相の発見や、相転移圧の決定、熱力学的特性把握などに強みを発揮します。
地球科学・惑星科学応用
鉱物・岩石の高圧ふるまいを調べることで、地球内部や惑星内部のモデル検証、地質プロセス理解につながります。
課題・制限への対応
- 試料サイズが非常に小さくなる → 微量試料の取り扱い、加工精度が問われる
- 圧力の一様性・加圧ムラ → 適切な圧力媒体選択やセル設計が重要
- 電極引き込みや配線の制限 → 最近は分割型ガスケットやパターニングダイヤモンドなどによる改良も報告されています
- ダイヤモンド・ガスケットの破損リスク → 精密加工やアライメント技術で軽減可能
結論
DACは高圧研究に幅広い可能性をもたらします。現在、26GPaを超える圧力下での材料の物理的特性に関する多くの知識は、DAC実験から得られています。
圧力が高くなればなるほど、試料サイズは小さくなっていきます。ダイヤモンドアンビルセルも、圧力や試料サイズに合わせて製品選定が必要になります。
選定にお困りの際はお気軽にご相談ください。
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