真空の世界もいろいろと種類がありますが「真空含浸」の紹介です。あまり聞いたことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、意外と身近なところでその技術が使われているんです。
真空含浸(シンクウガンシン)とは
金属、木材、セラミックスなどの材料には細かな隙間や微細は穴があります。その隙間や穴を減圧することでその材料の内部にある隙間や穴に存在する空気を取り除いたうえで薬品・樹脂・油などの液体を浸して含ませるための装置です。
減圧した後に更に加圧することでより液体が浸み込み易くなるので「減圧」と「加圧」をセットにした装置もあります。
大気中での「じゃぶ漬け」に比べ、真空工程で行うことでより材料内部の溶存気体を取り除くことが可能となり短時間で効果的に液体を浸透させることができます。
材料に含浸させる目的と含浸のプロセス
材料(ワーク)に様々な液体を含浸させる主な目的は、
「耐圧」「耐久」「気密」「防水」「絶縁」「潤滑」「防錆」「強度」「難燃」など、
その性質・機能を高めるためです。
- チャンバー(容器)内に含浸させたいワークを入れ、蓋を閉めロックし真空ポンプでチャンバー内を真空にする。
- チャンバーの下部から液体(含浸剤)を導入しワークを浸す。
- 真空を開放し大気に戻す。さらに加圧し含浸を促進させることも可能。
- チャンバーから液体を戻してワークを取り出す。
※上記の他にも2槽式、槽の温調、加圧、攪拌等の様々な含浸装置の製作を承ります
真空含浸装置を用いてつくられた身近な製品の事例
一般的にあまり人の目に触れるところで真空含浸装置で含浸されたものを目にすることは少ないですが、ここでは身近で目に触れるものやユニークな事例を紹介します。
ゴルフのクラブでドライバーなどを「ウッド」と言い、ヘッド部分は現在ではほとんどメタル製になっていますが、昔は木製(WOOD ウッド)でその材料の多くは柿の木(パーシモン)でした。この柿の木の材料に真空含浸装置を使用して薬液を含浸させることで強度や耐久性のUPをおこなっていました。
食品ではフリーズドライの果物やスナック菓子にチョコレートを浸み込ませたり、生の果物にシロップを浸み込ませたりするのも真空含浸装置で作るとより深く浸透させることができ美味しく仕上がります。
また変わった事例では、弊社では扱っていませんが「真空含浸法ヘッドスパ」というものもあります。これは真空含浸装置と原理は一緒で、頭に専用の「吸引洗浄機」というものをつけて真空状態にすることで老化皮脂や汚れを吸い出すことができ、同時に頭皮を柔らかくしてくれるので育毛剤なども浸透しやすくなるようです。
なんとなく「真空含浸装置」がどのようなものかイメージできましたでしょうか?
弊社では真空ポンプ・真空計から真空装置にいたるまで「真空」と名の付くものに多くの知見がございますので「真空」に関するご相談はお気軽にご連絡ください!
>>「真空含浸」関連の製品詳細はこちら!①
>>「真空含浸」関連の製品詳細はこちら!②
※製品カタログもダウンロード可能です(無料)