石英ガラスが曇ってしまった・・・熱処理等の実験を行っている方なら経験があるのではないでしょうか。そんな時は、安く・早く・環境にやさしい石英ガラスの洗浄をご検討してみてはいかがでしょうか?
石英ガラスの失透
石英ガラスの特徴のひとつに高い透過性があります。
ただ、ご使用の条件によっては白くくすんで曇りガラスのようになってしまう事がありますが、この症状を失透といいます。
「失透」の主な原因
・温度:1200℃以上の加熱(石英ガラス表面に異物が付着しているととくに)
・雰囲気:焼成物から出るガス等の影響
・素手で触る:人間の油脂が付着したことによるもの
また、炉自体から出るガスによって影響が出る場合もありますので、炉の材料選びも慎重に行いたいところです。
当社ではご使用条件に最適な電気炉の製作も承っております。
失透によるデメリット
透過性が悪くなりますので、光を透過させたり観察が出来なくなります。
また、見かけ上はくすんだり曇っていたりするだけに見えますが、表面では細かいクラック(ひび割れ)が発生している状態になっており、石英ガラス自体の寿命を縮める原因にもなります。
透明にする方法
失透した石英ガラスの状態が表面のクラックとなりますので、洗剤をつけて擦り洗いしても落ちる訳もありませんし、一般的な洗剤に含まれる成分が石英ガラスに悪影響を及ぼし、寿命を縮める原因になる事もあります。
石英ガラスを透明にする方法は大きく二つあります。
① 薬品を使った洗浄
② 焼き上げ
今回は①の薬品を使った洗浄をご説明します。
(②の焼き上げについてはこちらで解説しています!)
石英ガラスの洗浄にはフッ酸を使用します。
名称:フッ化水素
化学式:HF
洗浄と言っても実際にゴシゴシ洗うわけではありません。
石英ガラスはほとんどの薬品に対し反応を示さないのですが、フッ酸に対しては反応します。
フッ酸の入った槽に対象の石英ガラスを一定時間浸漬させることにより、クラックが発生している表面を溶かし、一皮剥きます。
洗浄前と洗浄後の写真ですが、白くくすんだ失透が消えているのがお分かりになると思います。
洗浄前 洗浄後
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赤枠の部分が失透・・・ 反射で模様が映っていますが、失透は消え透明に!
この作業には長年の経験が必要となり、しかもフッ酸自体が毒物及び劇物取締法で指定をされている薬品の為、ご使用いただくには相応の管理体制が必要ですので、ご自身で行う事は現実的ではありません。
石英ガラス洗浄のメリット
石英ガラスを洗浄するメリットは、一般的に下記が挙げられます。
・コスト
新品の石英ガラスを作成する場合と比較して、安い価格で済みます。
・納期
新品の石英ガラスを作成する場合と比較して、短い納期でご返却が可能です。
・環境にやさしい
薬品に浸漬して洗浄を行いますので、作成に要する燃料等の使用がなく環境にやさしいです。
弊社では長さ2000mm以下、幅及び高さが400mm以下のサイズまで対応が可能です。
症状によってはフッ酸洗浄が適さない場合もございますので、詳細は弊社にご相談ください。
その他、石英ガラスの特徴については下記もご参照ください。
当社では、石英ガラスに限らずパイレックスでの作成や、石英ガラス基板のカット、異物の分析等さまざまなサービスをご提供しております。