ポンプの選定は性能曲線だけではNG!
ポンプはあらゆる分野において必要不可欠な配管部品です。そのため、ポンプには様々な種類が存在し、どのようなポンプを選べばいいのかわからないという方も多くいらっしゃいます。
当社のお客様でも、以前はご自身で植物栽培装置用装置の循環ポンプを選定されていましたが、実際に装置に組込んだら多段のラック毎に流量が不均一になり適正な流量が得られない不具合が生じてしまいました。
そこで、流量が均一になるように、最適なポンプを選定したいとのご相談を受けました。
今回のお客様は、ポンプカタログの性能曲線をもとに機種選定をされていました。ポンプの性能曲線は、揚程と吐出量から最適なポンプを選定できるようになっており、多くの方はこの性能曲線だけでポンプ選定を行っています。
しかし、性能曲線には配管径や配管長、立ち上げ距離等、流量を決定するための要素が加味されていません。そのため、性能曲線からポンプを選定しても流量不足やオーバースペックになってしまい、結局ポンプメーカーに検証を依頼することも多々あります。
特に装置設計段階においては、配管長さや高さ、必要流量の変更がしばしば伴います。その都度最適なポンプ選定が必要となりますが、毎回ポンプメーカーに依頼するわけにもいきません。
最適なポンプ選定をするために必要なこと
そのため、最適なポンプ選定をするためには、性能曲線ではなく、「ダルシーワイスバッハの式」を理解する必要があります。
ダルシーワイスバッハの式とは、配管抵抗(直管内摩擦損失水頭)を求める計算式で、配管長さ(L)や
配管径(d)、流速(V)から計算して求めることができます。(fは無次元係数のダルシー数、
gは重力加速度)
この式を用いることで、ポンプ必要吐出揚程を以下の式によって算出することができます。
ポンプ必要吐出揚程=配管抵抗(直管内摩擦損失水頭)+立ち上げ距離
この計算式を用いることで、立ち上げ距離を加味した最適なポンプ選定をお客様自身ですることができるようになります。
直管100m当りの摩擦損失水頭例
最適なポンプの選定はお任せください!
上記のように、最適なポンプ選定は性能曲線だけでは不足があり、ダルシーワイスバッハの式を適用することでポンプの流量不足やオーバースペックを防止することができます。
しかし場合によっては、液体の粘性や配管継手の数や形状によっても条件変化が生じるので、最終的な検証はメーカーに依頼する必要があります。
最適なポンプ選定でお困りの方は、まずはものづくりサイエンスナビまでお問い合わせください。