「石英ボート」は様々な用途で使われますが、今回は半導体製造工程の主に拡散工程における使用についてスポットライトを当ててみました。ちょっと奇妙な形でどう使ってどう作るのか良くわからない、そんな「石英ボート」の使われ方と作り方を中心に解説!
シリコンウエハーを乗せる「石英ボート」
石英ボートは様々な用途がありますが、今回は半導体製造における役割についてご紹介いたします!
このボートはウエハー上に酸化膜等の膜を付けるために「拡散炉」「CVD炉」と言われる装置の中で使用されます。
特徴は石英のムク棒に「溝」を切ることです。溝の形状は様々ですが、下図のような形状になっています。
この「溝切加工」をしたムク棒は通常4本で組立てられて、この組み立てられたものが「石英ボート」と言われる製品になります。
加工のポイントは「溝」!
「溝」の数は通常ウエハー25枚~150枚分のものが多いですが、目的や装置によりその溝の数は様々で、また「溝」の形状はウエハーの大きさや厚み、ウエハーの移送などを考えて設計されます。
溝は専用のマシンで加工していきます。この溝切専用のマシンはダイヤモンドカッターを用いて石英のムク棒に「溝」を切っていきます。
加工方法として以下のようなパターンがあります。
- 溝を切ってからムク棒を溶接しボートの形状にする加工方法
- ムク棒を溶接してから溝を切る加工方法
ムク棒を溶接してから溝切加工を行った方が、寸法精度が高精度で加工が出来るという理由から、近年は溶接組立後に溝切りを行うことが主流となっています。
使用する装置によって異なる「石英ボート」の形状
ボートの形状としては縦型と横型があります。これは装置により異なりますが、近年は縦型の装置が主流になってきています。
横型はウエハーを溝に立てるように置き、縦型はウエハーを溝に水平に置きます。
また、半導体製造工程で使用される「石英ボート」はウエハーの大口径化やデバイスの微細化などで、形状も複雑化し、求められる精度も高精度化してきています。
石英ボートの加工、承ります
以上のように、半導体製造工程における「石英ボート」は、ウエハー上に酸化膜を付ける際に使われ、その製造にあたって高度な技術が必要です。
また、石英ボートを使用する際には合わせて石英の「炉心管」や「熱電対保護管」をはじめ様々な石英の治工具も必ず使用されます。
弊社ではそれらも併せて加工・提供することができますので、お気軽にお問い合わせください。