石英ガラス製品には様々な製品があり、お客様のご要望により色々な形状に加工してお使い頂いております。
そんな石英ガラス製品の中でも、大学の研究室や化学や物理等の基礎的な実験などで多く用いられる「試料管」や「アンプル管」はどのように作られているのでしょうか・・・
目次
科学技術の発達に欠かせない石英ガラス製品
石英ガラスはその優れた特性から、化学や物理に関する研究をはじめとする様々な分野で広く利用されています。
しかし、石英ガラスの加工は精密さと技術を要する作業であり、機械化が難しい職人の世界とも言えます。
本記事では、「職人の技」に焦点を当て、基礎的な実験などで多く用いられる「試料管」や「アンプル管」(お客様により呼び方は様々です)と言われるものの作り方をご紹介します。
お客様の要求に合わせた様々な形状で製作します。
写真Aの製品は全長225mm、太いところの外径が20mmΦ、細いところの外径が12mmΦです。
この太いところに試料を入れて加熱してその試料を溶かすために使われます。
また、写真Bの製品は試料を入れるところが2ケ所あり、写真Cの製品は先端を尖らせてそこに試料を入れる形になっています。
これらの形状はお客様が研究や実験でお使い頂く目的や使いやすさなどを検討し、お打合せをさせて頂きながら形状は決められていきます。
職人が一つ一つ火炎を巧みに使い、形にしていきます
旋盤加工中の様子
写真Aの製品は外径12mmΦ×内径10mmΦの石英管を旋盤(石英管を固定させて回転させるもの)と呼ばれる機械にセットして石英管を回転させながら20mmΦまで膨らませて最後に先端を平らに封じます。
膨らませる時は「ブロー」 といって息(空気)を送り込みながら膨らませ、カーボン製の「鏝(こて)」を使って形を整えます。
また、旋盤を用いずに職人自身が石英管を手で回転させ膨らませる加工をおこなうこともあります。
写真Bの製品のように試料を入れるところが2か所あるものは、膨らませた形状のものを別々に2つ作り、それを繋ぎ(溶接)合わせて一つの製品にします。
手回し加工中の様子
写真Cの製品のように先端を尖った形状にするには、石英管を回転させつつ、巧みに石英管を引っ張りながら先端を尖らせていきます。
機械化が難しい職人の世界。基本的には職人の手作業による加工。
石英ガラスの細かな加工製品は一つの製品を大量に作るということがなく、機械化や自動化が困難なところであり、最後は職人の技術(わざ)によるところが多い世界です。
今回紹介した製品は特別に加工が難しい製品というわけではありませんが、それでも一通りの加工技術を身に着けるにはそれなりの年数の経験が必要です。
昨今はこのような石英ガラスの加工職人への「成り手」も少なくなってきていますが、目立ちにくい世界ながらも科学技術を支えている「縁の下の力持ち」として貴重な存在です。
石英ガラスの加工、承っております
今回は石英ガラスの試料管、アンプル管の加工方法を簡単に紹介しながら、その加工を担っている「職人」のことにも触れさせて頂きました。
このような製品をお使いのお客様には、その製品の多くは職人が一つ一つ手作業で作っているものだとご認識頂いた上で大切にご使用いただければ幸いです。☺
弊社では、石英加工において多くの実績を持ち、お客様の要望に合わせた石英ガラス製品を提供しています!
ご要望やご相談がありましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。