現代はビール類にとって激動の時代

日本におけるビール消費量は1990年代半ばをピークに横ばい状態となり、2000年代に入るとビールより価格が安い「発泡酒」の登場で縮小傾向に・・・

さらに、酒税法の改正によって酒税が下図※1のように段階的に変わります。

ビール 発泡酒※2 第三のビール※3
~2023年9月 70円 46.99円 37.8円
2023年10月 63.35円 46.99円 46.99円
2026年 一律54.25円

以上のように、相対的にビールは値下げ第三のビールは値上げという形になります。

これからビール類には激動の時代が来ると考えられますが、果たして各企業におけるマーケティング戦略はいかに・・・!?

今回は競争が激化するビール業界において製品の差別化に寄与する装置を「ビールの4C」の観点からご紹介します!

※1 一缶(350mlあたり)
※2 麦芽比率25%未満
※3 麦由来のスピリッツを加えたり、麦芽を使用していなかったりするもの

第一のCは「Clear」・・・「キレ」

「このビールはキレがあっておいしい」と言いますが、「キレ」とは何でしょうか?
これを味覚的に言うと「苦味雑味(苦味先味)」と「酸味」で表すことができます。

「キレ(Clear)」といった一見、曖昧な表現も味覚センサーを使えば数値ではっきりと「見える化」することできます。

※下図はクリックで拡大可能です


味覚センサーによる「キレ」や「コク」「後味(あとあじ)」の測定

上記の表はどのビールがおいしいかということではなく、それぞれの味(コクとキレ)の特徴を示したものです。

表で言うと酸味が強い(右下側)ほうがキレがあるという事になり、「苦味雑味(苦味先味)」が強いほう(左上側)が「コク」があるということになります。

この装置では、「甘味」「辛味」「塩味」「苦味」など「一般的な味覚」の測定はもちろん、「キレ」や「コク」、そして「後味(あとあじ)」の測定もできます

ts5000z 味覚 味 可視化

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みなさんは「キレ」があるビールと「コク」のあるビール、どちらが好みですか?

第二のCは「Color」・・・「カラー(色)」

ビールの見た目、「色」もおいしさを感じさせる大切な要素です。

人の五感のうちで視覚は一番情報量が多いといわれています。味覚だけでなく視覚に訴える「色」はビールをおいしいと感じさせる大きな要素といえるでしょう!

二次元色彩計 PPLBはカメラ方式の色彩計であり、「人が見たままの色」を高精度に測定することが可能です!

※下図はクリックで拡大可能です。

2次元色彩計による色差の比較②
表(2-1) 色差比較①

2次元色彩計による色差の比較③
表(2-2) 色差比較②

上図は基準となるビールの「色」(基準画像)と対象とするビールの「色」(検査画像)を比較したものです。

色差を示す「⊿E」の数値が大きいほど色の違いが大きいということになります。

人間の目でも「色の違い」(官能検査)は分かりますが、この「二次元色彩計 PPLB」を使うことにより品質の管理、原料による「色」の違いや変化、収穫年による「色」の違いなどが可視化され、さらに上記の「味覚センサー」と合わせてお使い頂く事で「色」と「味」の関係性なども「見える化」することができます。

パパラボ 色 官能評価 二次元色彩計

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ちなみに、ビールの色の多くは原料の麦芽の種類や焙煎度で決まってくることが多いようです。明るい色のビールでは明るい色の麦芽を、ダークビールでは焙煎度の高い麦芽が使われるようです。

皆さんは明るい色のビールとダークビールのどちらがお好みですか?

第三のCは「Creamy」・・・「クリーミー(泡)」

ビールにはクリーミーさ(泡)もおいしさを感じる大切な要素です。

ビールを飲む際に最初に口に触れるのが「泡」です。「泡」の状態は、ビールの種類での違いだけでなく、ビールの温度、注ぎ方、グラスの温度、状態、注いでからの時間などの条件が関係してきます。

下記の表(3-1,3-2,3-3)はテクスチャーアナライザーを使い、所与の一定の条件のもとで「泡」を測定※1したものです。

※下図はクリックで拡大可能です。

テクスチャーアナライザーによるクリーミーさの数値化①
表(3-1) 硬さ

テクスチャーアナライザーによるクリーミーさの数値化②
表(3-2) 粘着性・糸引き長さ

テクスチャーアナライザーによるクリーミーさの数値化③
表(3-3) 連続した測定

表(3-1)の硬度(g)は3.53gが最も柔らかい「泡」で5.64gが最も硬い「泡」とみることができます。

表(3-2)の粘着性は0.34mJが一番粘着性が高く、0.10mJが一番先着性が低いと言う事になります。また、糸引長さは「泡」に接液している治具を上に引き上げたときに泡が一緒に引き上げられる距離(mm)をあらわしてしますので、13.32mmが一番長く治具に泡が付着していたということになります。

グラフは測定を続けて2回行った際の表が表(3-3)となります。

テクスチャーアナライザー CTX

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一番「クリーミィーさ」を感じられる状態でビールを飲めると嬉しいですね。

※1 所与の条件(温度、グラス、注ぎ方等)が変わればデータは大きく異なります。

第四のCは「Calorie」・・・「カロリー」

最後はビールのカロリー(Calorie)についてです。いくらおいしいといってもやっぱりカロリーは気になります。

下記の表※1カロリーアンサーという装置で100ml※2中のカロリー(熱量)や栄養成分(タンパク質、脂質、炭水化物、水分、アルコール(g)(%))を測定したもので、2種類のビールとその他のアルコール飲料の測定値を比較したものです。

カロリーアンサーによる栄養成分の測定

「カロリーアンサー」は近赤外分光法を利用した装置で、先の6項目を1回あたり僅か3分※3と言う短時間で測定することができます。

また、実商品の栄養成分を測定することで、製造時商品の品質管理や商品試作時などに活用いただくこともできます。


カロリーアンサー |CA-Hiの詳細はこちら
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みなさんは「味」を重視しますか?「カロリー」を重視しますか?

※1 測定①②③はそれぞれ繰り返し測定したもの
※2 100g当たりの測定値のため、比重分を考慮
※3 CA-HMを使用

装置やテクノロジーの活用が市場で成功を収めるための鍵に・・・

以上のように、今回はビールの4C(Clear、Color、Creamy、Calorie)を数値化する装置をご紹介いたしました。

酒税法の改正等、状況が変化していくビール業界において、製品の差別化を図ることが課題となってきているのではないでしょうか。

「キレ」や「コク」、「色」、泡の「クリーミーさ」、そして「カロリー」など、消費者が重視する要素は多岐にわたります。各要素を適切に管理し、製品を改良することで、競争力を維持し、市場で成功を収めるための鍵となります

今後のビール業界において、これらの装置やテクノロジーの活用がますます重要になっていくでしょう!

ご興味がある装置がございましたら、下記までお問い合わせください☺

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